化学薬品による中毒
有機リン系殺虫剤中毒
害虫を駆除する目的で用いられる有機リン系の殺虫剤で中毒が起こります。
猫のノミ取り首輪にも含まれていることがありますので、飼い主は誤飲事故が起こらないよう十分な注意が必要です。
また殺虫剤の中にはキャットフードの粒と同じ大きさのものがあり、猫が間違いを起こしやすいので、こちらも十分な注意が必要です。
殺鼠剤中毒
殺鼠剤に含まれるメタアルデヒドやワルファリンなどで中毒を引き起こします。
殺鼠剤を含んだネズミを食べてしまった野良猫に多く発症しますが、猫が中毒になる可能性も常にあります。
人間用の薬中毒
解熱鎮痛薬に含まれるアセトアミノフェンは、少量でも中毒症状を起こします。
大量摂取による人間の死亡例もありますので、絶対に与えないようにします。
また生理痛、発熱、関節炎、炎症部位の鎮痛に用いるイブプロフェンを含む薬も厳禁です。
除草剤中毒
除草剤に含まれるフェノール系やヒ素系の物質によって中毒が起こります。
除草剤が散布された所を猫が歩き、足の裏や体表に付着した薬剤を誤って舐めてしまうことで体内に入ってしまうというケースが多く見みられます。
ニコチン中毒
乳幼児ではタバコ0.5~1本に相当する10~20mg、成人ではタバコ2~3本に相当する40~60mを、溶液にして直接飲んだ場合、急性中毒になります。
猫の大きさにもよりますが、タバコ1本でも食べてしまうと中毒を起こす可能性があります。
炭化水素中毒
炭化水素は灯油、ガソリン、塗料シンナーなどの石油製品や接着剤、洗浄剤などに含まれます。
摂取すると呼吸困難、のどの痛み、激しい咳、チアノーゼなどの症状が出ます。
腐食性物質中毒
腐食性物質は、トイレ用洗剤や排水口、食器洗浄器用洗剤などに含まれることがあります。
多くは数分以内にのどや口の痛みが起こり、よだれ、息切れ、せき、呼吸困難を引き起こします。
不凍液中毒
不凍液とは、住宅の暖房ヒーターの一部や水冷エンジンなどの内部を循環する冷却水の一種で、凍結しないように作られた液体のことです。
主成分はエチレングリコールなどで、誤飲すると主に腎臓に障害が発生してしまいます。
塩素系殺虫剤
猫に寄生したダニを殺すための薬浴剤や殺虫剤には、リンデン、クロルデンなどの塩素系炭化水素が含まれます。
こうした物質を口から摂取したり、皮膚を通して吸収してしまうと、中毒を起こすことがあります。
エッセンシャル・アロマオイル
エッセンシャルオイルやアロマオイルに含まれる植物成分が、中毒症状を引き起こす場合があります。
オイルが皮膚に直接触れ、猫の体内に大量に吸収された場合は急性中毒、そして空気中に揮発した成分を呼吸器から吸い込んだ場合は、体内にゆっくりと蓄積された有害成分によって慢性中毒を起こします。
エッセンシャルオイルやアロマオイルは、ペット用のシャンプー、イヤークリーナー、消臭スプレー、虫除けカラーなどの成分として用いられていることがあり、人間用の入浴剤や洗濯洗剤の中にも当オイルを含むものがあります。
今一度、現在使用しているペットアイテムや人間用アイテムの成分を確認してみましょう。
もし含んでいる場合は、今後は念のため使用しない方が良いでしょう。